中小企業のDXが進まない、5つの理由
「DXをやらないといけない」とは思っている。でも、何も始まっていない。
これは珍しいことではありません。むしろほとんどの中小企業がここで止まっています。理由はだいたい次の5つです。
理由1|何から始めればいいか分からない
いちばん多い理由です。DXという言葉が大きすぎて、どこから手をつければいいのか決められないまま時間が過ぎていきます。
解決策はシンプルで、会社ではなく「業務」を1つ選ぶことです。「うちの会社をDXする」と考えるから動けません。「請求書の作成だけ」「社内のやり取りだけ」と範囲を切れば、明日から始められます。
選び方のコツ
いちばん困っている業務ではなく、いちばん毎日やっている業務を選んでください。回数が多いほど、効果がすぐ数字として見えます。
理由2|IT担当者がいない
従業員5〜50人の会社に専任のIT担当者がいることは、ほとんどありません。社長や管理職が本業のかたわらで見ている、という会社が大半です。
ここで大事なのは、担当者を作ろうとしないことです。「詳しい人を採用してから」と考えると、いつまでも始まりません。かわりに、担当者がいなくても使えるツールを選ぶ。設定が要らない、マニュアルを読まなくても分かる、スマホだけで完結する。この条件で探せば、選択肢はかなり絞れます。
理由3|最初から全社でやろうとする
「導入するなら全員で使わないと意味がない」と考えて、説明会の準備や運用ルール作りから入る。そして、その準備の段階で止まります。
全社導入は、うまくいくと分かってからで十分です。まずは1人に1件。社長から店長へ、店長から社員へ、営業から事務へ。誰か1人に、今日の仕事を1件だけ新しいやり方で頼んでみる。それが最初の一歩として現実的な大きさです。
理由4|効果が見えないので続かない
「なんとなく便利になった気がする」だけでは、忙しくなった瞬間に元のやり方に戻ります。続けるには、効果が見える業務を選ぶ必要があります。
測りやすいのは、たとえばこのあたりです。
- 探している時間(「あのメールどこだっけ」の回数)
- 確認の回数(「あの件どうなった?」と聞いた回数)
- 転記している件数(紙からPCに入力した枚数)
- 月末にかかっている時間(集計・請求書作成)
始める前に1週間だけ数えておくと、あとで比較できます。厳密でなくてかまいません。
理由5|現場が反対する
「今のやり方で困っていない」と現場が言う。これもよくあります。ただ、反対の中身をよく聞くと、たいてい「自分の仕事が増えるのが嫌」です。
つまり、現場の手間が増えるものを選ぶと、必ず反対されます。逆に、入力する場所が1か所に減る、報告しなくてよくなる、探さなくてよくなる——現場が楽になるものを選べば、説得はほとんど必要ありません。
やりがちな失敗
管理する側だけが便利になるツールを入れてしまうこと。入力の手間は現場に増え、見える化のメリットは上だけが受け取る。この形は、ほぼ確実に使われなくなります。
まとめ
DXが進まない理由の多くは、能力でも予算でもなく「最初の一歩が大きすぎる」ことです。1業務・1人・1週間まで小さくすれば、たいていの会社は動き出せます。