「システム導入=DX」ではない理由
システムを導入した。それなのに、現場の忙しさは変わらない。むしろ増えた気がする——。
よくある話です。原因はほぼ1つで、「何をやめるか」を決めていないことにあります。
導入しても、業務が変わらなければ何も変わらない
システムを入れることは、道具を1つ増やすことです。道具が増えただけで仕事が楽になるわけではありません。今までやっていた何かをやめて、はじめて楽になります。
ところが実際には、こうなりがちです。
典型的な二重管理
- 新システムに入力する。でも、これまでのExcelも更新し続けている
- システムで承認する。でも、紙の申請書も回している
- システムに進捗を書く。でも、朝礼で口頭報告も続けている
これでは仕事が増えます。そして「システムのせいで忙しくなった」と言われ、使われなくなります。
導入とセットで「やめること」を決める
ルールはシンプルです。1つ導入したら、1つやめる。
導入を決める会議で、必ずこの2つをセットで決めてください。
- これから、どこに入力するのか
- 今日から、何への入力をやめるのか
2番目が決まっていない導入は、ほぼ確実に二重管理になります。「移行期間として当面は両方」も危険です。期限を切らない並行運用は、そのまま定着します。
やめるのが怖い場合
「元のやり方をやめて、もし失敗したら」と不安になるのは当然です。その場合は、やめる範囲を小さくしてください。
- 全業務ではなく、1業務だけやめる
- 全社ではなく、1部署・1人だけやめる
- 期間を区切る(まず1週間だけ、新しいほうだけで回す)
範囲が小さければ、失敗しても戻せます。戻せる大きさで試すのが、いちばん安全です。
DXの本質は「引き算」
DXというと、新しいものを足すイメージがあります。しかし現場が実感できる変化は、たいてい引き算のほうです。転記がなくなった。確認の電話が減った。月末の集計が要らなくなった。
導入を検討するときは、「何ができるようになるか」と同時に、「何をしなくてよくなるか」を必ず確認してください。後者が答えられないなら、そのシステムはまだ必要ありません。
まとめ
システムを入れることと、業務が変わることは別です。導入と同時に「やめること」を1つ決める。決められないなら、導入は見送って構いません。